次に前景を描いていきます。草で覆われている土手は濃いめのグリーンを基調に、ビリジャン、オーカーなど他の色も少量加えて、筆に水をあまり含ませないで描きます。右側の川はサーッと流す程度でいいと思います。グレーがかった明るい道は紙の余白をそのまま生かしながら、丸筆ですばやくえがきます。

中心の桜は薄く溶かした多めのホワイトに少々のレッドを加え、太い筆に絵の具をたっぷり含ませ塗っていきます。変化をつけるため他の色も少し塗り加えていきます。桜の太い幹は手前が濃ゆく段々と遠くなるにつれ薄く小さくなっていきますが、幹の影の部分は濃いめの茶系にブラック、ブルーをまぜて着色し、光が当たっている明るい方はあえて着色せず軽く流す気持ちがいいでしょう。大事なのは木立の一本一本の形にとらわれず大まかにとらえ、太い筆で一気に描くことです。細部にこだわりすぎるのはよくありません。また描いていくうちにどうしても紙が乾いてきます。 そういうときにはもう1度紙をぬらします。要するに透明水彩は、この繰り返しで、先に塗った色の乾きが早すぎた時、もう1度紙をぬらして塗り重ねていきます。そうすると色に深みが増して独特な味わいの絵ができます。全景に濃いめの色を重ねて、遠景、中景のバランスをとっていきます。一番手前の草に覆われている土手は、濃いめのグリーンを基調に、筆に水をあまり含ませないで描て、右側の川はサーッと流す程度でいいと思います。左側の竹林は濃いめのブルーに他の色を混ぜて、暗い感じを出します。